EU-U.S. Privacy Shieldの年次レビュー始まる


欧州からアメリカへの個人データ移動について、EUデータ保護指令(95/46/EC)第25条に基づき、EUがアメリカにおける十分なデータ保護措置の存在を認める決定(十分性決定)の根拠となっているEU-U.S. Privacy Shield(以下「PS」)の第1回目の年次レビューが9月18日(米国東部標準時)に開始された。

EU側はPS制度の現状について少なからぬ不満をいだいている。英Financial Timesの取材に対し、GDPRの執行を所管するヴェラ・ヨウロヴァー欧州委員(司法担当)は、「我々は永久に忍耐を続けることはできない」と発言し、プライバシーに関する苦情を受け付け、PS制度の重要な柱となる独立のオンブズマンがトランプ政権成立後、未だ指名されておらず、米議会上院での承認手続を含め、いつ正式に就任するか見通しが立っていない状況を批判した。また、国外の非アメリカ人を対象に情報監視を認める外国情報監視法(FISA)第702条に関して問うDeutsche Welleの取材に対しては、アメリカの個人データ保護レベルが現在より低くならないことを注意深く見守っている(vigilant)と述べ、2018年末に期限が終了する702条の延長をめざすトランプ政権の姿勢に警戒感を示した。PS制度は現在、フランス及びアイルランドの市民団体を原告とする2件の訴訟において無効が主張されている。

ヨウロヴァー欧州委員はワシントンでウィルバー・ロス米商務長官と会談するほか、シリコンバレーでGoogle、Facebookなどの企業幹部とも面会する予定。EUは10月にレビュー報告書を公表する。

PS制度に関するアメリカとEUとの交渉は、今後EUが別の国との間でEU一般データ保護規則(GDPR)に基づく十分性決定を議論する際に重要な基準を提供する可能性があり注目されている。とくにBrexit後のEUとの自由な個人データ流通の枠組として相互十分性決定を希望しつつも、アメリカ同様、諜報機関の個人データ処理に広範な例外を認めるイギリス、7月の首脳共同宣言で2018年の早い時期を目標にEUとの間で双方向制度認証をめざす方針を打ち出した日本の関係者は、今回の年次レビューの結果に注目している。

https://www.ft.com/content/ed13ad0a-9bb8-11e7-8cd4-932067fbf946
https://www.reuters.com/article/us-eu-dataprotection-usa/eu-u-s-data-pact-faces-first-major-test-of-credibility-idUSKCN1BR09W
http://www.dw.com/en/eu-us-privacy-shield-america-first-must-not-mean-america-only/a-40570389
http://www.multichannel.com/news/policy/white-house-confident-privacy-shield-working/415334

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