アイルランド監督機関DPCが、身体装着型カメラやアクションカメラの使用に関するガイダンスを発表


アイルランド監督機関(DPC)が、身体装着型カメラやアクションカメラの使用に関するガイダンスを発表

アイルランド監督機関(DPC)は、身体装着型カメラやGoProに代表されるアクションカメラの使用に関するガイドラインを発表した。

インターネットの動画投稿サイトに動画を提供するなどの目的で、視聴者の関心をより高めようと、身体装着型カメラやアクションカメラの使用が増加している。その結果、意図しない個人データの収集(対象を撮影した画像の中に他の個人が映り込む)ことがある。また、撮影した画像が、個人の使用の範囲を超えて不特定多数が視聴可能な状態で公開されるといった、個人データ保護の観点から好ましくない状況も発生している。本ガイダンスは、身体装着型カメラやアクションカメラの使用について、個人データ保護の観点から注意すべき点について説明したものである。

ますはじめに、これらのカメラによる画像撮影が、純粋に個人的な活動範囲でない限り、撮影主体の個人や組織は、撮影した画像などの個人データの管理者になり、EU一般データ保護規則(GDPR)上の規制を受けることになる。純粋に個人的な目的での撮影は、GDPRの適用除外を受けるからである。撮影が「純粋に個人的」であるかの判断は、撮影の状況や撮影目的などの事実を評価することが必要であるが、一般的に公共の場所での撮影は「純粋に個人的」であると主張するには難しいとしている。欧州司法裁判所は2014年のRynes vs Urad裁判で、私有地に設置された監視カメラが、たとえ一部でも公共の場所を撮影していた場合、それは純粋に個人的、あるいは家庭的活動に対する適用除外(Household Exemption)に該当しないとしている。

撮影した画像を不特定多数が視聴できるように投稿した場合、個人的要件性を満たさなくなることに注意すべきである。撮影者の撮影目的が個人的であるか否かは考慮要素にならない。また、職業的目的と関連するような形で撮影や投稿が行われた場合も、個人的要件を満たさない。そのため、例えばクリック数により報酬が決定するような動画共有サイトへの投稿は、GDPRの規制対象になる可能性がある。

身体装着型カメラやアクションカメラで撮影した画像に個人データを含む場合の適法根拠について、DPCは同意が適用できないとしている。偶然映り込んだ通行人などに事前に撮影の同意を求めることは事実上不可能だからである。そのため、適法根拠は「正当な利益」に求めなくてはならず、その場合はバランシングテストの実施、撮影の必要性と撮影内容の比例性の検討などが求められる。

撮影対象者である個人には、個人データが処理されること(撮影その他の使用)や、撮影等の目的、管理者とデータ保護オフィサー(DPO)の連絡先、適法根拠、画像等の開示先、第三国へのデータ移転について、時宜に応じて(事前またはすみやかに)通知しなければならない。その手段としては、これらの情報を目に見える形で掲示する、撮影機材へのバッジやステッカーを貼り付ける、ノーティス文書のウェブページへのリンクを表示するといった対応がある。なお、画像と音声を個人データとして同時に記録または処理する場合(動画の撮影など)、それぞれについて適切な法的根拠を示す必要がある。

撮影は目的達成に必要十分な量及び内容に限定され、過度な撮影は認められない。撮影対象者に対するリスクが高い場合のほか、身体装着型カメラのような「新技術または個人の権利に対する侵襲性の高い技術」による撮影は、DPIA(データ保護影響評価)の対象になる。撮影画像の保管期間についても、個人データ処理のために必要最小限の期間とし、紛失などに備えるなどの「万が一のため」のデータ保管は認められない。

以上に加え、データ主体の権利行使への対応、処理する個人データに対する技術的・組織的安全確保措置の実施、法定書類の整備といった一般的なGDPR遵守対応が必要なことはいうまでもない。身体装着型カメラやアクションカメラは、手軽に高画質の動画を撮影投稿できることから、個人のみならず企業でも利用が拡大している。利用の手軽さにより、カメラによって撮影・記録された画像が個人データに該当する場合があることなどに対する意識が低くなりがちである。これらのカメラを利用して動画等を撮影する際は、被写体である個人データの取扱いが適正であるか、今一度確認することが望ましい。

Guidance on the use of Body Worn Cameras or Action Cameras
https://www.dataprotection.ie/sites/default/files/uploads/2020-01/Guidance%20on%20Body%20Worn%20Cameras%20or%20Action%20Cameras_Jan20.pdf

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