中国 アプリへの規制・取締り強化の動き


中国 アプリへの規制・取締り強化の動き

1.金融機関アプリの規制・取締り強化の動き

中国人民銀行(中国の中央銀行。以下は「中央銀行」という)は今年9月に「移動金融ユーザー端末応用ソフトセキュリティ管理規範」を発表し、中央銀行の指揮のもと中国インターネット金融協会(中国名「中国互联网金融协会」)が金融機関のアプリに対して評価と認証を行い、是正命令を出すなど、取締り強化を図っている。この背景には、金融機関のアプリの脆弱性がある。中国情報通信研究院より発表された「2019年金融業界モバイルアプリ安全調査報告」(中国名「2019金融行业移动App安全观测报告」)によると、金融機関のアプリの70%には高度の脆弱性が存在し、6%には悪質なソフト(なりすましができる、情報が盗まれる等)が入っていたという調査結果が出ていた。

また、フィンテックの発展に伴い、現在多くの金融機関のローンはオンラインで処理されることもあり、オンラインで提供を受けた個人情報が目的のビジネスのみに利用され、売買されないことを保証する必要がある。そこで、10月9日に中央銀行は「個人金融情報保護試行規則」を策定し、個人金融情報の定義を本人確認のための情報、口座情報、資産情報、センシティブ情報なども含んだ広いものとして、保護を図っている。

さらに、中国政府はフィンテックのアプリの評価やリスク監視、監督技術およびコンプライアンス技術の構築に取り組む「中国金融科学技術測定評価センター」の設立も進めている。

【本件ニュースの元となった新京網(※)の12月12日の報道】
http://www.bjnews.com.cn/finance/2019/12/12/660913.html
※「新京報」(英語名:The Beijing News)
・・・2003年11月に政府系新聞の「光明日報」と「南方日報」により共同設立された北京市場向けの日刊新聞。2018年10月31日からウェブ配信も行っている。

2.教育アプリの規制・取締り強化の動き

教育アプリに対する規制・取締りも強化された。2019年にオンライン教育市場は2,600億元を超え、小中学生のオンライン教育のユーザー数は8,000万人に達する見込みである。しかし、教育アプリの中には著作権を侵害する等の違法なものやポルノ等の情報が含まれているものがあり、関係当局は10を超える違法なプラットフォームを調査し、200以上のアプリを削除した。今後も「教育モバイルインターネットアプリケーションの秩序ある健全な開発を指導する教育省を含む8つの部門の意見」を導入し、取締り強化を図っていくとのことである。

【本件ニュースの元となった搜狐の9月5日の報道】
http://www.sohu.com/a/339083892_387118

3.工業情報化部 個人情報違法収集などのアプリへの取締りを強化
工業情報化部(※)は「アプリによるユーザーの権利侵害に対する改善作業の通知」(中国名「APP侵害用户权益专项整治工作的通知」)を出し、計画的、段階的にアプリの改善作業を進めている。自己検査の段階では8,000個余りのアプリが改善された。次の段階では委託した第三者機関によるアプリの検査が行われている。これまで41個のアプリで個人情報の濫用、ユーザー権限の不合理な取得、アカウント削除の妨害などの問題が改善されていないことが発覚しており、そのリストも公開された。リストの中には、中国での利用者数第3位のアプリ「QQ」(※※)も含まれている。リストにあるアプリが12月31日までに改善されなければ、法律に基づき措置を講じるとのことである。また、今後も段階的に改善されていないアプリを公開していく予定とのことである。

【本件ニュースの元となった12月19日の工業情報化部の公式ウェイボー】
https://www.weibo.com/miit?is_hot=1#_loginLayer_1576813103209

※工業情報化部…中国の通信業を所管する部門
※※QQ…テンセント傘下のインスタントメッセンジャーソフトの一種。中国本土において普及しているコミュニケーションツールのひとつ。百度によると利用者は6億人で、ウィチャット(微信)、アリペイ(支付宝)に続く第3位の利用者数である。

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