ドイツで業務車両GPS追跡に関する判例 業務目的に照らした必要性、従業員からの同意の有効要件が論点


ドイツで業務車両GPS追跡に関する裁判 業務目的に照らした必要性、従業員からの同意の有効要件が論点

3月19日、ドイツ北部、ニーダーザクセン州のリューネブルク行政裁判所(以下「裁判所」)が、雇用者による業務用車両のGPS追跡が許容される条件について判決を下した。EU一般データ保護規則(GDPR)施行後、従業員のGPS追跡についての判決はおそらくこれが最初のものである。

原告であるビル清掃会社は、従業員が清掃現場への移動に利用する車両にGPSを備え付け、その航跡を150日間保持していた。これに対して、データ保護監督機関がドイツ旧データ保護法(BDSG-old)に基づき、このようなGPS追跡をやめるよう命令を下した。この命令を不服として、ビル清掃会社が行政裁判所に提訴した。ビル清掃会社は、業務車両のGPS追跡は、雇用の目的を達成するため、具体的には、車両の手配、盗難防止、盗難車両の発見、清掃業務が適切に実施されていることの確認、休日の業務車両利用禁止の監視、業務車両の私的利用禁止の確認などのために必要であり、何人かの従業員から書面同意を得ていると主張した。

裁判所は、ビル清掃会社の訴えを退けた。従業員が利用する業務車両のGPS追跡は、雇用関係における個人データ処理であるところ、GDPR88条は雇用関係における個人データ処理についてEU各加盟国の国内法に詳細規制を委任し、ドイツ新データ保護法(BDSG-new)26条が雇用関係における個人データ利用について規定している。裁判所は、以下の理由により、本件のGPS追跡は、BDSG-new26条が許容するところの、雇用関係の目的のために必要な個人データ処理とはいえないと判断した。

清掃会社による業務車両の配車は厳密なスケジュール管理を要するものではない。
GPS追跡自体は車両盗難防止には役立たず、盗難された車両の発見のためには常時追跡は不必要。
清掃業務が適切に行われたかどうかはGPS追跡では監視できない
業務車両の私的利用禁止ルールを監視するためには、他のよりプライバシー侵害度が低い方法がある

また、裁判所は、ビル清掃会社が従業員から取得したと主張する同意は、有効ではないと判断した。BDSG-new26条によれば、雇用主が従業員から取得する同意が自由に与えられたものかどうかを判断するためには、雇用関係における従業員の雇用主に対する依存度、同意が与えられる状況について考慮すべきとしており、当該同意に係る処理が従業員の法的・経済的利益となる場合または従業員と雇用主とが共通の利益を追求している場合には、同意は自由に与えられたものである可能性があるとしている。この基準に照らし、裁判所は、雇用主が従業員から取得したと主張する同意は自由に与えられたものであるとは言えず、また、同意の前提となる情報提供も行われていなかったと判断した。

裁判所は、人や荷物の配達など、より正確な位置情報や即時の対応が必要な業態においては、GPS追跡が許容されるかどうかについて判断が異なり得るとも述べている。

http://www.rechtsprechung.niedersachsen.de/jportal/portal/page/bsndprod.psml?doc.id=MWRE190000986&st=null&showdoccase=1

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