欧州司法裁判所法務官が削除権(忘れられる権利)について欧州域外には適用されないとの意見を公表


欧州司法裁判所法務官が削除権(忘れられる権利)について欧州域外には適用されないとの意見を公表

2019年1月10日に、欧州司法裁判所(CJEU)法務官が、削除権(忘れられる権利)についてEU域内に限定されるべきであるとの意見を公表した。

削除権は、EUでは、2014年のCJEUの判決を経て、GDPR17条のRight to erasure (‘right to be forgotten’ = 忘れられる権利)として明文化されているものである。これを根拠に、インターネット上の検索エンジンの検索結果から個人データを削除する要求が個人から出されている。これに応じて、フランスのデータ保護機関であるCNILが出した制裁金を含む対策命令に対して、Googleとの間での争われており、フランスからCJEUへの介入が要請されていたものであるが、主な争点として、欧州域外における削除命令にも従う必要があるかどうかという点がある。

CJEUのSzpunar法務官は、その意見書の中で次のように述べている。
1 忘れられる権利は、データ保護の権利やプライバシー権、探索情報へのアクセスという公共的な利益とのバランスをとることが肝要である。
2 全世界での忘れられる権利が認められると、地理的条件に依存した、第三世界の国家間での情報アクセスへの影響などの問題が発生する可能性がある。
3 これらの観点から、インターネット検索エンジン事業者は、すべてのインターネットドメインからの検索要求には対策する必要がない。
4 ただし、EU域内における削除権(忘れられる権利)により、EU域内からの個人データの削除要請には応じる必要がある。
5 EU域内での削除権が確立されたら、検索エンジン事業者は、ありとあらゆる技術を駆使してEU域内における効果的な対策実施を確保する必要がある。それは、EU加盟国と判断されるIPアドレスに関する地理的ブロッキング技術を含むものである。

Googleは2014年の判決以降、個人等からの多数の削除要請への対応や、削除されたリンクを非表示にする等の対策を進めてきていた。本意見が通った場合、EU域外の検索ユーザーがEU域外から検索を行えば、要請を受けて削除されたリンクが表示されることになる。

CJEU法務官は、裁判所の係属事件について公平で独立した立場から意見を述べるが、法務官の意見は直接的に判事を拘束するものではない。本件も今後開催される裁判の結果が注目される。

法務官意見書
https://curia.europa.eu/jcms/upload/docs/application/pdf/2019-01/cp190002en.pdf
関連する日経新聞記事
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39869040Q9A110C1FF2000/

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