オーストリア当局、Cookie同意をサービス提供条件として認める決定


オーストリア当局、クッキー(Cookie)同意をサービス提供条件として認める決定

2018年11月30日、オーストリアのデータ保護機関であるDatenschutzbehorde (DSB)は、同国の新聞社がネット上で提供するニュースサービス購読と関連する広告目的のクッキー利用同意について、無料でサービスを提供する場合にこのようなクッキー利用同意を条件とすることを認める内容の決定を公表した。

同新聞社がネット上で提供するニュースサービスは、利用者が広告目的のクッキー利用同意を撤回すると有料となる。このような同意はGDPRが同意の有効要件とする、自由に与えられた同意ではないと苦情申し立て人は主張。その理由として、新聞社はクッキーを利用しない有料購読オプションを用意しているので、クッキー利用はサービス提供に必須なものとは言えないとした。

これに対して同新聞社は、次のように反論した。メディアは、長年にわたり、事業運営を広告収入に依存し、とくにオンライン・メディアでは、広告収入が唯一の収入源である。技術的に必要なクッキーのみを利用しつつ無料提供している提供オプションにおいては、限定的なページだけが利用できる。また、適切な料金を支払うと、技術的に必要なクッキーのみを利用しつつ、全てのコンテンツを購読することができる。このため「同意がない場合に全く無料にてサービスが利用できない」とはいえない。同新聞社のサービスは、次の3つの購読オプションを提供している。

DSPは、以下の理由により、申立を退け、新聞社の言い分を認める決定を下した。同意しないことにより不利益が生じる場合には同意が自由に与えられたとは言えない。EU旧29条データ保護作業部会の同意ガイドラインでは、自由な同意とは言えない場合の例(ごまかし、脅し、強制、同意しない場合の重大な不利益)を挙げている。本件では、広告目的のクッキー利用に同意しなくても、利用者は一部のコンテンツを読むことができ、また、妥当な価格でクッキー利用なしに全てのコンテンツを読むことができるので、重大な不利益が生じるとは言えない。

同様のサービス利用と同意の抱き合わせに関する事件について、オーストリア最高裁は、任意性を否定する判断を示した(12月19日の本ニュース欄で紹介)。また、報じられるところによれば、Washington Post の類似の例に対して、英国データ保護機関のICOが警告を与えているとの情報もある。広告収益による無料サービス提供は、世界のデジタル経済を支えてきた重要なビジネスモデルであり、今後の各国での判断等が注目される。

DSBの決定書
https://www.huntonprivacyblog.com/wp-content/uploads/sites/28/2019/01/DSBT_20181130_DSB_D122_931_0003_DSB_2018_00.pdf
関係する記事
https://www.huntonprivacyblog.com/2019/01/07/austrian-dpa-issues-decision-on-validity-of-cookie-consent-solution/
EU旧29条作業部会の同意ガイドライン(個人情報保護委員会(PPC)仮訳)
https://www.ppc.go.jp/files/pdf/doui_guideline.pdf
ICOによる同意抱き合わせへの警告を報じる記事
https://www.theregister.co.uk/2018/11/19/ico_washington_post/

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