欧州司法裁判所法務官が「いいね!ボタン設置者も管理者の責任あり」との意見書


欧州司法裁判所法務官が「いいね!ボタン設置者も管理者の責任あり」との意見書

2018年12月19日に、欧州司法裁判所(CJEU)の Michal Bobek 法務官 が自社の販売用WebにFacebookの「いいね!ボタン」を設置したオンラインのファッション小売り事業者に、個人データの共同管理者としての責任があるという趣旨を含む意見書を提出した。

該当するファッション小売り事業者である Fashion ID GmbH & Co. KG は、そのWebにFacebook Ireland から入手した「いいね!ボタン」のPlug-inを埋め込んだ。その結果、ユーザーがFashion IDのWebに来た際に、ユーザーのIPアドレスやブラウザーを判別する文字列がFacebookに送られる。更に、この転送は「いいね!ボタン」を押したかどうかや、Facebookのアカウントを持っているかどうかに関係なく自動的に起こるのである。

これに対して、ドイツの消費者保護団体であるVerbraucherzentrale NRW e.Vが、Fashion IDのPlug-inの埋め込みが、データ保護法制におけるデータ漏洩をもたらしたとの理由で法的手続きに持ち込んだものである。なお、本意見は、GDPRではなく、データ保護指令(Directive 95/46)及びドイツ国内法に基づき形成されたものである。

Bobek法務官による評価(Assessment)の要約は以下の通りである。意見書の結論の部分にも、ほぼ同様の内容が記述されている。

  • 被告Fashion IDは、Facebook Irelandと共に共同管理者である。しかし、その責任は、データ処理の特定の段階に限定される。
  • データ保護指令に示されたバランシング訓練(balancing exercise)は、被告Fashion IDだけでなくFacebook Irelandの正当な利益が考慮に入れられる必要があり、もちろん、データ主体の権利も考慮する必要がある。
  • データ主体が既定のデータ処理段階において十分に説明を受けて同意をした事実は、被告Fashion IDに示されなければならない。被告は、また、データ主体に情報を提供する義務がある。

欧州司法裁判所は27人の判事と8人の法務官で構成されている。法務官は、裁判所の係属事件について公平で独立した立場から意見を述べるが、法務官の意見は直接的に判事を拘束するものではない。本件も今後開催される裁判にて最終的に決着するものであるが、本意見書の内容が大きく影響することが予想され、判決が注目される。

Michal Bobek 法務官の意見書
http://curia.europa.eu/juris/document/document.jsf?text=&docid=209357&doclang=EN
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