日EU間の相互十分性決定を危ぶむ論調も


日EU間の相互十分性決定を危ぶむ論調も

7月17日に、個人情報保護委員会熊澤委員と欧州委員会ヨウロバー委員より「日EU間の相互の円滑な個人データ移転を図る枠組み構築に係る最終合意」という共同プレスステートメントが出され、2018年の秋までに当該個人データ移転の枠組みを運用可能とするために、双方において必要な国内手続を完了させることが約束されたことは記憶に新しいところである。
https://www.ppc.go.jp/enforcement/cooperation/cooperation/300717/
http://europa.eu/rapid/press-release_IP-18-4501_en.htm

これに対して、世界最大規模の安全なデータ流通地域を確立するものとして、事実を周知するものや、好意的な論調の報道がなされてきた。しかし、ここに来て、EUとアメリカの関係・状況などを観察・考慮し、日EU相互十分性決定の実現への困難を指摘する論調も出てきたので紹介する。

「EUと日本が自由データ流通に合意、これは大西洋越しの移転を脅かす不安定なプライバシーシールドの枠組みのようなもの」と題する記事では、7月5日に欧州議会が改善が見られない際にはプライバシーシールドの停止を要求したことと関連付けて日EU間相互十分性決定を論じている。
https://www.techdirt.com/articles/20180720/06192740272/eu-japan-agree-to-free-data-flows-just-as-tottering-privacy-shield-framework-threatens-transatlantic-transfers.shtml

この記事では、まず、合意の概要を示した後に、日本側での十分性決定までの要対策事項としての「日本側での追加安全対策の必要性」と「欧州のデータ主体からの苦情取り扱いに関する仕掛けが、日本のデータ保護機関により管理されること」について言及している。その上で、このような内容が、EUとアメリカの間のプライバシーシールドにおいて問題となっている点と類似していることを指摘している。欧州議会が7月5日に、プライバシーシールドにつき「現状、十分性の基準に達していないとして、対策がなされない場合には9月1日より停止すべきだ」と決議し、アメリカの対応が注目されていることは、本欄でも報告した通りである。

その上で、EU側での承認手続きについて述べているが、EUの規定によれば次の通りである。
◎ 十分性決定採択には以下の内容が必要である

  1.  欧州委員会からの提案
  2. EDPB(the European Data Protection Board)からの意見
  3. EU各国代表の承認
  4. 欧州委員会委員による決定の採択

欧州議会と欧州理事会は、規則(regulation)を超えた実行力があるという観点の下で、欧州委員会に対して、十分性決定の維持、修正、取り下げをいつでも要求してもよい。
https://ec.europa.eu/info/law/law-topic/data-protection/data-transfers-outside-eu/adequacy-protection-personal-data-non-eu-countries_en

これに鑑み、上記記事にては、日本の十分性決定までの数多くの障害について言及している。例えば、EDPB(旧29条委員会)や、プライバシーシールドの停止を要請した欧州議会の「市民の自由委員会(the civil liberties committee)」が十分性の裁定での観点を出すことである。欧州委員会は貿易障壁を減らす取り組みをしていることを示すために、この十分性決定に熱心であると思われるが、この記事に書かれているように、決定までには困難も予想される。

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